難病とは、国が治療や研究を進めている希少な難治性の疾患のことです。その原因が明確でないためにはっきりした治療方法がなく、長期の療養を必要とする必要があります。
難病が発症すると、これからの仕事や日常生活はどうなるのか?と不安になる方もいるかと思います。また、周囲や友達に同じ病気の人がおらず孤独感に襲われることもあるでしょう。
しかし、実際は医療費助成制度の活用、通院・治療や自己管理を適切に行うことによって、今まで通り変わらず生活を送ることができている方も多くなっています。
僕たち難病の方が受けることのできる社会的な制度『難病申請』はどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。また、難病申請の進め方など、難病患者にとって有益な情報をお伝えしていきます。
それでは、見ていきましょう。
目次
【指定難病】潰瘍性大腸炎を患っています
実は僕は皆さんと仲間で難病患者。18歳の頃から潰瘍性大腸炎という難病を患っています。
当時、高校の修学旅行先であった北海道の札幌市のとあるトイレで異変に気づいたという苦い思い出があります。。
同じ潰瘍性大腸炎の方もいるかと思いますので少しだけ話すと、お腹が痛いなぁと思いトイレに行ったあと、トイレが血塗れになっているのに気づきました。「え?痔にしては血の量が半端ないなぁ?」と思ったのを覚えています。初めての血便はみんな「痔」だと思うのでしょうか?僕だけなのか疑問です(笑)
2022年1月1日現在、23の歳なので難病歴5年目になります。また経験数は未熟ではありますが、難病発症したての方に少しでも安心感や親近感、少しでもお役になれればと思いこの記事を書いています。
☑️過去の自分に対しても記事を書いています。過去の自分が困ったものって、同じ境遇の方や同じ導線を辿る方(難病患者、潰瘍性大腸炎)にとって有益な情報に変わります。
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難病申請について
難病申請について具体的にお伝えしていきます。
難病とは?
難病とは、国が治療や研究を進めている希少な難治性の疾患のことです。その原因が明確でないためにはっきりした治療方法がなく、長期の療養を必要とする必要があります。
難病と聞くと「治りにくい病気」「寝たきりの生活」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?毎日介護を受けて生活を送っている人の割合は意外にも低く、医療の進歩によって治療、療養を受けながら健常者と変わらない普通の生活を送っている方が多くなってきています。
しかし、完治にいたるまでは難しく、寛解期を維持できていても、定期的に通院と服薬等、生活における自己管理が大切です。
難病の定義
難病法では、難病について次のように定義されています。
難病の定義
- 発病の機構(原因)が明らかでないこと
- 治療方法が確立していない希少な疾病
- 当該疾病にかかることにより、長期にわたり療養を必要とすること ※がんや精神疾患、感染症、アレルギー疾患など、個別の施策体系が樹立されているものは除く
難病の種類(代表例)
難病疾患には多くの種類があります。その中でも働き盛りの15~64歳に多い代表的な難病には大きく分けて3つの疾病があります。
・消化器系疾病(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
・自己免疫疾病(全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎等)
・神経・筋疾病(パーキンソン病、もやもや病、多発性硬化症/視神経脊髄炎、重症筋無力症など)
代表的な難病以外にも、患者数が少ない難病疾病もたくさんあります。
- 血液系(原発性免疫不全症候群など)
- 循環器系、呼吸器系、皮膚・結合組織系(神経線維腫症など)
- 内分泌系(下垂体前葉機能低下症など)
- 視覚系(網膜色素変性症など)
- 骨・関節系(後縦靭帯骨化など)
指定難病とは?
指定難病とは次のように定義されています。
指定難病とは「難病法に定められた難病のうち、医療費助成の対象となる難病」のこと
指定難病に該当するためには、先ほどお伝えした『難病の定義』+『指定難病の要件』を満たす必要があるのです。
☑️指定難病の要件は以下の通りです。
指定難病の要件
- 患者が本邦において一定の人数(人口の0.1%程度)に達しないこと(※)
- 客観的な診断基準(またそれに準ずるもの)が確立していること ※人口の概ね1/1,000(0.1%)程度に該当する数と厚生労働省令において想定している
難病の定義
- 発病の機構(原因)が明らかでないこと
- 治療方法が確立していない希少な疾病
- 当該疾病にかかることにより、長期にわたり療養を必要とすること ※がんや精神疾患、感染症、アレルギー疾患など、個別の施策体系が樹立されているものは除く
医療費助成制度ってなに?
国の制度で、指定難病患者への「医療費助成制度」があります。
「医療費助成制度」とは、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期間の療養に必要な医療費の経済的な負担が大きい患者を支援することを目的とする制度です。
その代わりと言ってはなんですが、「難病法」で指定された指定難病の治療法を確立させるため、難病患者のデーターを収集し、治療研究を推進することに協力(同意)する必要があります。
そして難病申請が認定されれば都道府県より「指定難病医療受給者証」が交付されます。
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難病申請をするメリット・デメリット8つ
次に指定難病のメリット・デメリットについて詳しくお伝えしていきます。
難病申請のメリット2つ
医療費助成制度を受けられる
指定難病と診断され、かつ重症度分類等に照らして一定程度以上の病状の場合、医療費助成の対象となります。難病申請すると医療費の負担は2割になります(国民健康保険や健康保険組合加入者の一般的な医療費負担は3割)。また、所得に応じて決まった月額の自己負担額を超える治療費は支払わなくてもよいのです。
障害者割引を受けられる場合がある
スマートフォンの料金や美術館、映画館などの入場料の割引サービスを受けることができる場合があります。
難病申請のデメリット6つ
難病申請のデメリットを6つお伝えします。
1年に1回の更新手続きが必要
半年前くらいから受給者証の更新手続きの書類が送られてきます。その際に主治医に「臨床調査個人票」に記入してもらう必要があります。それに文章料として1500円〜5000円くらい取られてしまうというデメリットがあります。また、更新手続きには区役所で「住民票」や「所得証明書」も入手する必要があるのでとても手間がかかるのでこれもデメリットでしょう。
毎年更新手続きがあるので、年1の大仕事と言っても過言ではありません。。書き方を間違えたりすると修正してくださいと返送されたりもする場合もあるので余裕をもった更新手続きをおすすめします。
医療保険に入りづらくなる
難病申請をすると、有名な保険会社の医療保険や生命保険に加入しづらくなる場合があります。また、ローンを組むのも拒否されたりと社会的地位を失う感覚を経験する可能性があるのでデメリットです。難病申請を検討している方はこれも頭に入れておくべきでしょう。
しかしこのデメリットは、保険に加入できない保険会社もあれば、難病患者に優しい保険会社もあるのでそこまで心配する必要はありません。僕はメットライフという保険会社に加入できています。
治験研究のために難病患者のデータを活用される
難病申請する時に「臨床調査個人票」という書類を主治医に記入してもらい都道府県に提出する必要があるとお伝えしました。臨床調査個人票は難病の研究のためのデータとして使用されるのでその治験研究に使用することを承諾する必要があります。また、難病研究に使用するデータは個人情報は伏せられるようになっています。
病院に行くたびに受給者証の提示が必要
指定難病の方は病院に行く時必ず持っていく物があります。
難病患者が通院時に持っていく物
- 診察券
- 保険証
- 医療費受給者証
- 自己負担上限額管理票
通院時に、もし以上の物を忘れてしまうと2割負担が適用されないので注意しましょう。(一般的な医療費負担の3割負担になります)
自己負担金上限額管理票に医療費の記入と押印をもらう必要がある
通院するするごとに自己負担金上限額管理票に医療費の記入と押印をもらう必要があり、また、領収金額を自己負担金上限額管理票に記入してもらう必要があります。
受給者証の有効期限が切れると、一般医療費負担の3割を負担しなければならない
年1の更新手続きの締め切りに間に合わず、受給者証の有効期限が切れてしまうと通院時の負担額が自己負担上限額から3割負担になってしまいます。
僕も1回有効期限を切らした経験があります。。僕は階層区分が一般所得Iですが、自己負担上限額が10,000円に対し有効期限が切れて約90,000円ほどの請求になりました。。
でも、後々上限額以上余分に払った金額は払い戻しされるので安心ですが(僕の場合約80,000円の払い戻しでした)、払い戻しが受給者証が届いてから約2ヶ月くらい待った経験があるのでご注意ください。。
僕と同じ失敗をしないために、皆さんは受給者証の更新手続きは早めに行いましょう!!
特定医療費支給認定申告書の書き方・記入例を知りたい方は下記の記事をご覧ください。『特定医療費支給認定申告書の記入例|書き方|注意点まで全て解説します。』
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難病申請する方法・手順
難病申請できる人の対象は先ほどお伝えしました。病状が一定以上であったり、高額医療費の負担が継続したりする指定難病は医療費助成制度の対象です。(もし不安な方は主治医に聞いたら一番早いし確実です。)
難病申請する場合は、難病患者自身が都道府県の役所へ行き難病申請する必要があります。その後、審査を経て認定されます。なお難病申請での診断基準及び重症度分類などは各都道府県によって異なります。
難病申請の手順
指定難病の医療費の助成を受けるためには「指定難病医療受給者証」の交付が必要です。難病申請方法は以下の通りになります。
難病申請手順
- 都道府県の窓口で難病申請する
- 指定医療機関(病院)で臨床調査個人票を作成してもらう
- 必要書類を都道府県の窓口へ提出する
- 指定難病医療受給者証の交付
手順4つを順番に解説します。
1.都道府県の窓口で難病申請する
都道府県の窓口へ行き、相談・確認の上難病申請に必要な書類を確認します。都道府県の窓口に関しては難病情報センターで確認できます。
2.指定医療機関(病院)で臨床調査個人票を作成してもらう
指定医療機関(難病指定医)を受診し診断書(臨床調査個人票)を作成してもらいます。なお、作成完了までかかる期間は医療機関ごとに異なりますがおおよそ2〜3週間ほどかかります。
3.必要書類を都道府県の窓口へ提出する
臨床調査個人票などの必要書類をまとめたら都道府県の窓口へ提出します。必要書類は以下の5つです。
難病申請の必要書類6つ
- 臨床調査個人票
- 住民票
- 所得証明書
- 保険証のコピー
- 医療保険の医療区分確認書類
- その他(必要に応じて提出する書類)
4.指定難病医療受給者証の交付
その後、都道府県が支給認定の調査を行い、その結果「支給認定」と無事判断されると『指定難病医療受給者証』の交付がされます。
なお、難病申請にはおよそ3ヶ月程度時間がかかります。
難病の方が相談できる窓口
難病と診断されると「これから生活どうしたら良いのか?」「仕事や日常生活はどうすればいいのか?」と不安になると思います。
少なからず僕はめちゃくちゃ不安でした。当時18歳だった僕はこれからの食事制限が始まることを考えると人生終わったくらいに思いました。
地域ごとに難病について相談できる窓口があります。ひとりで悩むのではなく難病の専門家に頼ることも大切です。相談窓口では、不安な気持ちを受け止めてもらいながら、スタッフによるアドバイスや支援を受けたり、同じ境遇である難病の方と情報交換をしたりすることもできます。
難病相談支援センター
難病相談支援センターでは、難病のある方の生活の維持向上を支援することを目的としており、各都道府県及び、指定都市に設立されています。
また、就労相談を行っておりハローワークなどの様々な支援機関と連携して支援を行っています。
難病相談支援センターのHPはこちらをクリック >>>
難病申請のまとめ
難病は完治が難しく長期的な療養が必要な病気ですが、寛解期を維持し続けることは可能です。継続的な治療や自己管理に気をつけることで通常と変わらない生活や仕事をすることができます。
難病申請のデメリットを6つお伝えしましたが、どれもこの記事を参考に気を付ければデメリットというまでもない内容だと思います。難病を患った方は多かれ少なかれ大体の方が難病申請をしており、支給認定までされています。なので難病申請のデメリットはありつつもメリットの方がメンタル的にも金銭面的にもメリットが多いからなのだと思いますし、実際に実感しています。
難病患者の一個人の意見ではありますが、難病申請するか迷っているのであれば難病申請することをおすすめします。今回お伝えした難病申請の手順をもう一度見たり、スクショしたりして参考にしていただければスムーズな申請ができると思います。最後までご覧いただきありがとうございました。
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