
仕事に慣れてきて膨大な作業量を任されるようになると、誰しも先輩や上司に「怒られる」「叱られる」といった経験はありますよね。
先輩や上司は教育のために叱っているのですが、やはり叱られると落ち込んでしまうものです。
ここではそんな教育をしてくれている先輩や上司のアドバイスを素直に受け止めて自分の成長につなげていくために、知っておきたい「ゴーレム効果」について解説していきます。
目次
ゴーレム効果ってなに?

さっそくですが「ゴーレム効果」という言葉を聞いたことがありますか?
「え、なにゴースト??」「何かの専門用語?」このように思う人は多いですよね。
もともとゴーレム効果は、教育心理学の心理的行動のひとつです。
ある生徒への期待が低い場合、その生徒は期待通りにパフォーマンスが下がること
ピグマリオン効果の対義語として意味づけられています。
教師:「どうせ、お前には志望校にいけないよ」(ゴーレム効果)
生徒:「うん、そうだよね...どうせ僕は頭が悪いんだ...」
このようにネガティブな発言を投げかけることで相手のモチベーションを下げることを言います。
ゴーレム効果の由来
アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールにより提唱された(1996年)
彼は、教師と生徒を対象にして実験が行ない、教師の期待度が低い子どもは結果として成績が下がるというものを証明しました。
自分がゴーレム効果に陥りそうになったら

一度ゴーレム効果に陥ってしまうと次のようになります。
1.他人からの評価・期待値が下がる
2.自分のモチベーションが下がる
3.パフォーマンスが下がる
もし、あなたがゴーレム効果に陥りそうになったら、すぐに悪循環から抜け出す必要があります。
また、あなたが教育者の場合、生徒がゴーレム効果に陥らないように注意しないといけません。
では、ゴーレム効果に陥らないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?
ゴーレム効果に陥りそうになったら|自分編

ポジティブ発言を自分に言い聞かせる
「大丈夫!」「自分ならできる!」とポジティブな発言を自分自身に言い聞かせ、自分に熱く語りかけることでモチベーションを維持します。
「自分は〇〇で結果を出したんだ!」「自分はもっと成長できる!」など、自分を前向きにさせる言葉をかけてみましょう。
小さな成功体験を積み重ねる
ゴーレム効果に陥ってしまうと、何もかもが上手くいかず、自分が完全に駄目な人であるかのように感じてしまいます。
ここで効果的なのが、小さな成功体験を積み重ねることです。些細なことで構いません、「早起きできた!」「毎日散歩している!」「バランスの良い食事ができた!」など。
これも十分立派な成功体験です。大事なのは「できた!」という達成感を得ることです。成功体験が増えると、だんだん自己肯定感が高まります。
この自己肯定感こそがゴーレム効果から脱出するための「キー」となります。
しっかり休む
ネガティブな心の状態を一度リセットするために、休息を取ることもひとつの方法です。
たっぷり睡眠の時間を取ったり、たまには趣味や運動に時間を費やしてみたりするのもよいでしょう。
モチベーションを回復させた上で、改めて目の前の問題に取り組めばサクッと問題を解決できることもあります。
ゴーレム効果に陥りそうになったら|他人編

良いところを見つけて相手を褒める
教育者でゴーレム効果を引き起こしやすい人の特徴は「相手の欠点・批判ばかりしていて褒めることをおろそかにしている人」です。
たくさん褒めれば良いわけではありませんが、適切なタイミングで相手を褒めることは生徒や部下のモチベーションを上げるだけでなく、良い信頼関係を築くことにもつながります。
「正当に評価をしてくれる上司だ」と感じることができていれば、成長意欲が高まるだけでなく、注意やアドバイスも素直に受け止めて今後の改善に役立てようと努力するモチベーションへつなげやすくなります。
ネガティブ発言を言わない
相手をゴーレム効果に陥らせないために何よりも重要なのは、相手にとってネガティブな発言や批判を連呼しないことです。
例えば、仕事で「おまえには、どうせ無理だ」「あ〜もう全然ダメ!!」などのネガティブ発言を連呼してしまうと、部下や生徒はゴーレム効果の悪循環に陥ってしまいます。
場合によって相手の批判は必要になることもありますが、ゴーレム効果で相手のパフォーマンスを下げたり、ミスをせめてしまえば本末転倒です。
批判の頻度や方法を工夫して、成長させるために効果的な指導をするように心がけましょう。
例えば、「お!良いじゃん!ただ、ここを〇〇したらもっと良くなるね!!」このように伝えるとどうでしょうか?言葉が違えど言いたいことは同じです。
このように「良い部分」「悪い部分」を合わせて伝えると効果的な指導ができるでしょう。
相手にチャンスを与える
部下が仕事で失敗してしまい、場合によっては叱らなければならないこともありますよね。
そのような場合は「次のチャンス」を与えてあげましょう。失敗したまま挽回のチャンスがないと、その人の評価は悪いままで終わってしまいます。そうなるとゴーレム効果に陥る危険があります。
なので悪い評価を覆すチャンスを与えれば、相手のモチベーションを高めることに繋がります。
ゴーレム効果とピグマリオン効果の違いについて

よく間違えられているのが「ゴーレム効果」と「ピグマリオン効果」の違いです。
この一見似ているようにも見えますが、効果が全くの別物です。
・モチベーションを上げる:ピグマリオン効果
・モチベションを下げる:ゴーレム効果
ピグマリオン効果の対義語がゴーレム効果なのです。
ピグマリオン効果について知りたい方は【恋愛心理】ピグマリオン効果は恋愛に効果抜群!?由来から3つの具体例まで徹底解説!!にて詳しく解説していますのでこちらを参照ください。
つまり、今回説明したゴーレム効果は、よっぽど相手を懲らしめたい、憎いという悪感情がない限り使う必要はありません。
なぜならマイナスな面しかないからです。
なので、この二つの違いをしっかり理解した上で実践してみてください。
まとめ
この記事では次の内容について解説しました。
・ゴーレム効果ってなに?
・自分がゴーレム効果に陥りそうになったら
・ゴーレム効果とピグマリオン効果の違いについて
・ネガティブな発言を投げかけることで相手のモチベーションを下げること
・ポジティブ発言を自分に言い聞かせる
・小さな成功体験を積み重ねる
・良いところを見つけて相手を褒める
・ゴーレム効果は普段使わない